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付き合って12日で結婚した話。

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沖縄までチャリ 〜9日目〜 「一寸先は闇。振り返るな...」

 

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沖縄までチャリ 〜9日目〜

ついに広島県へ

日程的に折り返しだろうか。

 

距離的には半分を超えているのだろうが、残り到着日数から逆算すると早いもので、あと半分となった。

 

今朝は、岡山県倉敷市から出発し、広島県東広島市まで向かう。

 

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広島県福山市へ入ると、街並みの中に自然が合体していて、綺麗な光景が映え渡っている。

 

かつ、今日は比較的暑く、気温は25℃前後あるため、なかなか体力が持ってかれる。合わせて、県境ともなれば坂ばかり。

 

必死に登るも、下っては登るの繰り返し。

 

お昼ご飯は久しぶりに、やよい軒にて生姜焼き定食を食し、体力を戻してから坂にまた挑戦する。

 

「今日もなかなかハードだ。」

 

そんな風に自分と会話しながらも黙々と進み、絶好のシャッターポイントを見つけては写真を撮る。

 

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久しぶりに、景色と自転車以外のものが撮りたくなり、セルフタイマーを設置して1人で記念写真。

 

5日目に修復してもらった、簡易ストッパーがここでも一際存在感を放つ。

 

「これから山か。しかも結構キツい。。。」

 

東広島市まで残り40kmというところで、山が立ちはだかる。

 

熱海のようにすぐに登りきれる山ではなく、40kmにまたがって常に登り続ける山。

 

さすがに眠気もあったせいか、近くの芝生でしばし横になる。

 

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(本日のベストショット)

 

なんでもない風景をそれっぽくiPhoneのカメラで収めるのが好きだ。

 

芝生の上はほんとうに氣持ちがいい。

 

  • 草木の匂い
  • 小さな虫たち
  • 心地よい風

 

それら全てが抜群の子守唄となり、この日も小1時間ほど昼寝をする。

 

一寸先は闇

「いかん。進まねば。」

 

到着予定時刻を確認すると、20時を回っていた。

 

「これじゃあ日が暮れる...」

 

さすがに今日はゆっくりし過ぎたと反省しながら、距離を重ねようとするも、やはり坂はそう一筋縄ではいかない。

 

漕いでも漕いでも進んでるかのように見えて、全然進まないし、氣を抜けばチャリは進まなくなってしまう。

 

そうこうしている内に、太陽はそそくさと沈んでしまい、山に静寂が訪れ始める。

 

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iPhoneも通信制限がかかってしまい、思うように操作できないし、Wi-Fiももちろん圏外。

 

残り15kmほどまで来たところで、電波が届かなくなった。

 

そして車の通りも少なくなったかと思いきや、人が通る氣配すらない。

 

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そして、ふと目の前に大きなトンネルが見えてくる。

 

吸い込まれてしまうかのように、まるでこっちへ来いと呼んでいるかのように、大きく口を開けて待っている。

 

トンネル内に入ると、車が通る時の音がこだまして、耳をつんざくような轟音が鳴り響く。

 

トンネルを抜け、時折車が通らなくなると、聞こえてくるのは、

 

  • 自分が漕ぐペダルの音
  • 虫の鳴き声
  • かすかに聞こえる沢の音

 

ぐらいだし、周りはライトで照らさないと何も見えない。

 

もちろん、iPhoneも、もはや案内の機能を果たしていないため、進んでいる道があっているのかすら分からない。

 

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道も舗装されてはいるが、草木が生い茂っていて、しばらく人が通ったような痕跡はない。

 

「ほんとうにこの道で合ってるのだろうか...」

 

一時はそう思ったし、少しの怖さもあった。

 

山の中で1人取り残されたかのような感覚にもなったし、どれだけ進もうと変わらぬ山に、心が折れそうにもなった。

 

時折道路沿いに無造作に備えてある花や、鳥居、お地蔵様の類が現れるたびに手を合わせた。

 

「もしや...後ろになんかいるんじゃ...」

 

そんな嫌な悪寒も走ったし、そういう精神状態の時に限って、後ろを振り向きたくなる。

 

それでも後ろは振り向かない。とにかく進まなくてはならない。一刻も早く、この山道を抜け出すためにも。

 

どことなく夜の山は人生に似てると思った。

 

人生にいろんな道はあれど、案内してくれるようなナビなんてものは存在しない。

 

もちろん、何かに挑戦したりする時に伴う緊張や不安なんてものもたくさんついてくる。

 

そして、いくら神頼みをしようとも、結果は自分次第でどうにでも変わってくる。

 

7日目に受けた宗教の勧誘だって、おじさんはきっと信じるものが欲しかったんだろうな。

 

  • 成仏したい
  • 天災から救われたい
  • なんとか幸せになりたい

 

そんな想いがあるからこそ、人は狂ってしまう。

 

「こういう状況でこそ、力を発揮するのは自分なんだ。」

 

僕はいつもそう思ってる。神頼みなんかしない。

 

いつ、いかなるときでも信じられる最大の味方は自分なんだ。

 

そう、他の誰でもなく、どんなルールや法律でもなく、最大の味方は自分。

 

たとえ、夜道で誰もおらずとも、電波が悪くてiPhoneが案内をしてくれなくても、信じるべきは自分なんだ。

 

そう強く思い込むと、不思議と不安や恐怖はなくなっていき、しばらくすると明かりが見えた。

 

「やった。登りきった。」

 

そこからはスイスイと下り、現在の後輩の家に着いた。

 

思い返せば、山の中で不思議と後ろに振り向かせようとしていたのは自分なんじゃないかと思った。

 

もしかしたら何かいたのかもしれないし、いなかったのかもしれない。

 

ただ、確実に言えるのは、間違いなく振り返らなくてよかったし、自分を信じて進んでよかったということだ。

 

おわりに

明日は山口県下松市あたりまで向かおうかと。

 

宿はいまのところ未定。

 

一風変わった異世界かのような山道を抜けた今、向かうところ敵なしな氣がする。

 

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