かぜひぴBLOG

付き合って12日で結婚した話。

かぜとなれ

沖縄までチャリ2016 〜10日目〜 さすがにボロが出てきた。

 

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沖縄までチャリ2016 〜10日目〜

東広島からの出発

昨晩、何時間も登ってきた山を、程よく肌寒い氣温の中下っていく。

 

「あんなに苦労したのに、下る時は一瞬なんだよな。」

 

途中、沖縄行きに氣付いてくれたのか、車の中からおばあちゃんが手を振ってくれた。

 

僕は思わず、にっこりと笑って手を振り返した。

 

ちょうどその時、一件のLINEの通知が入る。

 

「いつもブログ読んでます♪ チャリ旅順調かい?実は山口入りするって見て、彼氏の家があるからと思って!(本人には未確認)」

 

なんという幸運。

 

もちろん即答で「確認してほしい!」と告げて、目的地をその近辺に定めて進み出す。

 

今日も氣温は半袖で大丈夫なほど、涼しく、かつ日差しもちょうどいい。

 

ただ、2日間連続で110km以上進んでることもあり、筋肉痛は激しく、立ち漕ぎをするには相当エネルギーを消耗しなければならないぐらいガタが来ていた。

 

ひたすら漕ぐ

今日もまた110kmほど。

 

ほぼずっと2号線沿いを走るのだが、途中寄り道(後日更新)をしたこともあって、先を急がなければならない。

 

現時刻は15時。

残り60kmほど。

到着予定時刻は21時半。

 

夜は冷えるし、視界も悪いからなるべく走りたくない。

 

焦りもあってか、スピードはかなり出ている。もはやゾーンなるものに入っているといっても過言ではない。

 

信号などで止まると、途端に疲れがドッと溢れ出てきて、太ももがジーンとして動かなくなる。

 

できることなら、なるべく止まりたくない。

 

そんな中、先輩から電話がかかってきて「今どこらへんだー?」とか「何か必要なもんあれば言ってくれなー!」とか、人と話せてすごい助かった。

 

意識が筋肉痛から紛れるのはありがたい。

 

「せっかくならどっかのテレビ局とか、AbemaTVとかに営業でもかけとけばよかったんじゃね?おもしろいし!」

 

って言われたのが、ほんとに「確かに!!!」と思ったのはここだけの話。笑

 

ダークホース山口

残り40km地点まで来た時だった。

 

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標高を確認すると、山が大小含めて4〜5つ。

 

これはさすがに笑った。

 

どうやら、困難な状況に出くわすと、笑う癖まで出来てしまっている。

 

嘆いたってどうにもならないからこそ、せめてもの救いとして笑うとでも言うのだろうか。

 

考えてる暇はない。まだ、足が動く内に、日が暮れない内に進むしかないんだ。

 

そう言い聞かせて、覚悟を決めて山を登っていく。

 

確かに傾斜が急ではあるものの、箱根や熱海ほどではない標高のため、辛さは一瞬で通り過ぎ去っていく。

 

ただ、今回の道は一筋縄ではいかなかった。

 

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2つ目の山を登りきり、あとは下るだけ!と希望が見えた時に現れた15線沿いにある【欽明路隊道】というトンネル。

 

入ってみてすぐに違和感に氣付く。

 

「道幅が狭過ぎて進めない...」

 

確かに自転車ナビはこの道を指していたし、一応通れないこともない。

 

だが、車道はトラック2台がすれ違えてギリギリ。チャリが車道を通って、避けるスペースなど存在していない。

 

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思い切って道幅が自転車1台がギリギリ通れる部分を進んでみるも、左肩はぶつかるわ、トラックの通りすぎる時の風圧で吸い込まれそうになるわで危険極まりない。

 

一瞬、こけて車道側に落ち、チャリ旅が終わりそうになった瞬間もあった。

 

たまたま車が通ってなかったからよかったものの、トラックが通っていたらひとたまりもなかったところだった。

 

仕方なく、出口の見えないトンネルを自転車から降りて歩いて進むことに。

 

不思議と長く感じた。

 

足元は悪く、コンクリートは劣化していて、歩くたびに崩れる場所もあった。

 

 

そして闇を見た。

 

 

ちょうど真ん中に来た頃だっただろうか。

 

左側に何もない、鉄格子のような柵で覆われた空洞が存在していた。

 

おそらく車で通る限り、氣付きすらしないであろうその空間は、通りかかった瞬間だけ空氣がいてつくように冷え、その闇に吸い込まれるような錯覚と、背筋がほんとうに凍ってしまうぐらいの恐怖を覚えた。

 

今でもその感覚は忘れない。まるで見てはいけないものを見たかのような感覚でもあった。

 

トンネルを抜けたあとは下り坂だったから楽だったが、なぜか寒氣はおさまらなかった。

 

新しい出逢い

すっかり日は暮れ、残すところあと20km。だんだんと冷え込んできてもいる。

 

そんな中進んでいると、道端で反対側に進めなくて困っていたおばあちゃんがたので、渡るのを助けてあげた。

 

もちろん、「どこから来たのー?」とか「氣をつけて行きなさいねー」とか、そういう会話をして満足した。

 

そして30秒ほど進んだ時に、

 

「しまった。。。ここでリアル田舎に泊まろうをすればよかったのか。。。」

 

と後悔の念が押し寄せ、一目散に来た道を戻っておばあちゃんを探す。

 

見つからないおばあちゃんをよそに、1人のおじいちゃんがいたので、おばあちゃんを見かけませんでしたかと聞くと、どうやら旦那さんで。

 

事情を説明し、泊めてもらえないかを聞いたところ

 

「んー、泊めてあげたいけど、、、ウチは病氣の子どもがおって...」

 

と申し訳なさそうに断られてしまった。

 

きっとこれまでの自分なら落胆していただろう。それでも全くといっていいほど落胆しなかった。

 

期待しないことに慣れてしまったのだ。

 

  • 宿が見つかるかもしれない
  • いい出逢いがあるかもしれない

 

そういう期待を、この旅の中ではすでにしなくなっていた。

 

あったらあったでラッキー

なかったらなかったでそれが普通

 

その感覚が当たり前になっていた。

 

きっと、普段の生活でもいろんな部分で期待し過ぎな部分があるんだろう。

 

  • 自分に対する期待
  • 他人に対する期待
  • いいことがないかという期待
  • 食べるものが美味しいはずという期待
  • いく場所がいい場所だという期待

 

期待とは裏腹なものが目の前に現れた時に、落胆したり、怒ったり、悲しんだりするんだろう。

 

期待値を下げるという生き方

 

もあながち悪くないかなって思ったり。

 

今あるものに目を向ける。多くは求め過ぎない。それだけでも幸せの感じ方ってきっとぐっと上がるから。

 

結局おじいちゃんからは、缶コーヒーと野菜ジュースを2缶いただけて、送り出してもらった。

 

当たり前でないことに感謝をしつつも、疲れた身体にムチを打って進む。

 

ボロが出てきたか

その後、最後の山を登っている途中に幻聴のようなものが聞こえた。

 

後ろには誰もいないはずなのに、ものすごい勢いで走って迫ってくる足音が聞こえたのだ。

 

もちろんさすがの殺氣のようなものに、思わず振り向いたが、もちろん誰もいなかった。

 

「マズいな。相当疲れてる。」

 

そう思いながらゴール目前まで来たものの、朝に連絡があった山口の彼氏さんはどうやら出張でいないということだった。

 

それでも落ち込まない。

 

夜ご飯をささくさと済ませ、漫画喫茶に入り、記事を書こうとしている最中に寝落ち。

 

朝の4時頃に目を覚まし、今に至る。

 

おわりに

さすがにガタが出てき始めているので、今日は大事をとって40kmほどしか進まず、山口県は山口市にて身体を休めようと思う。

 

明日は、下関まで向かい関門海峡人道トンネルを抜けて、九州に上陸する。

 

旅も、もう少しで終わる。

 

実感はまだない。

 

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