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「もし何でも入れられるリュックがあるとしたら、何を入れて持ち運びますか?」
小物?家電?住まい?車?家族?恋人?子ども?それとも何もいれない?
もちろん入れれば入れるほど重たくなり、身動きもそれほど取れなくなります。
あなたが選ぶのは、どんな人生ですか?
映画「マイレージ・マイライフ」を観て
あらすじ(ネタバレ含)
年間322日も出張するライアン・ビンガムの仕事はプロの“リストラ宣告人”。
そんなライアンに二つの出会いが訪れる。
彼女たちと接していくうち、これまでないがしろにしていた人との“つながり”の大切さに気付かされていく…。
主人公であるライアン(ジョージ・クルーニー)は、1,000万マイルを貯めることが夢の
バックパックに入らない荷物は一切背負わない身軽な生き方をする大人の男性。
- 結婚願望なし
- 子どもも欲しいと思わない
- 家庭を持とうとも思わないし
- それらに一切の価値を感じない
だれかと深い関係を築く訳でもなく、
1人きりの人生という選択をしては、氣軽な付き合いを望む男の人生のはなし。
身軽な人生を望むアレックスとの出逢い
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ある日、ライアンと同じように出張を繰り返しているアレックス(ヴェラ・ファーミガ)に出逢い
彼女もまた「身軽な人生」を望んでいることもあり、一夜限りの関係を持つようになる。
それはまだ20代前半の自分には想像もつかないような
「恋愛感情のない大人で割り切った関係」というもの。
寂しい時に連絡を取り合い、都合をつけてはワンナイトを繰り返す。
いわばそれは、わかりやすく言うと「恋」に近いものなのかもしれない。
新人エリート社員ナタリーの登場
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そんなライアンの会社にエリート新人であるナタリーが入ってくる。
ナタリーはビンガムと対照的に、
- 結婚願望あり
- 子どもも欲しい
- 話し相手が欲しい
- 1人きりが嫌だ
なんですが、ライアンに新人教育の一環として、一緒に出張に連れまわされている内に
彼氏にメールで振られて、大泣きし始めるんですよね。
年齢による求める相手像の違い
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ナタリーは、
ホワイトカラーで大卒で犬と映画が好きで、背が高くて優しい目をしていて
仕事は金融で週末はアウトドアで、優しい笑顔だからポイントが高かったしうまくいくと思った
っていうんですよね。
そのあと、アレックスは
もう34歳だから容姿は氣にしないけど、背は自分より高い方がよくて
ダメ男じゃなくて一緒にいて楽しくて、子ども好きで子どもを欲しがって
子どもと遊ぶ体力があって、収入が自分より多いこと
でも、優しい笑顔さえあれば、他は大したことじゃないわ
っていうんですよね。
若者と大人の、パートナー選びの基準がこんなにも違うということが面白いというか。
どちらが正しいという訳じゃないけど、自分はすでにアレックスのような価値観で
20代前半とはいえ、なぜだか少し落ち着き氣味な思考なのかもとも思ったり。
若者からの喝
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アレックスとの関係性を見たナタリーは、それでもなお1人で生きようとするライアンに
「誰かと生きる将来を、なぜ考えずにいられるの?」
と投げつけるんですよね。これは、いまの自分に突き刺さるものがありました。
確かに
- 身軽であること
- 自由な身であること
- 自分の時間を一番大事にすること
とかって、魅力的に思えるんですよね。
ただ、一度経験してみると、それがいかに寂しいことなのかが身に染みるんです。
少なからず、沖縄にいた4ヶ月間はこれに近いものがありました。
結婚は人生のお荷物?
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物語は後半にさしかかり、ライアンはアレックスと一緒に妹のジュリーの結婚式に向かうんです。
ただ、結婚式当日に婚約者のジムが急に「結婚をやめる」って言い始めるんですよね。
やっていける自信がないんだ
家を買い、一緒に住み、子どもが1人・2人と生まれ
そして子どもは卒業、就職、結婚、孫ができる
俺は引退し、髭は薄く、太って、そして死ぬ
そんな人生に何の意味が?
って、昨晩結婚について考えたことをライアンに赤裸々と語ります。
ジムには、妻がいないライアンの人生の方が楽で、面白そうに写ってるんです。
そんなジムに対して、ライアンはこう言います。
君の人生で幸せだった時、独りだったか?
ゆうべ結婚式を前に不安が頭をよぎった時独りでベッドで寂しかっただろ?
誰かにいてほしい 「副機長」にね
このライアンの言葉に感動したジムは、改めて結婚式の準備を進めるんです。
ぼくも同じように「副機長」という言葉に、とても感銘を受けました。
確かにだれもが自分の人生の主人公であり、パイロットでもあると同時に
それが自分だけの人生だった場合、とてもさびしく、物足りないものになると思うんです。
しかも一人だと自由で、氣軽で、何にも縛られてない反面、
落ち込んだ時や、凹んだ時、さみしい時や、だれかと話したい時にその相手がいない。
一人で飛行機を操縦して、失敗したらそれで終わりだし、何も困ることはない。
ただ「副機長」がいれば、時に支え合い、時に慰め合い、時にぶつかり合い、時に高め合う。
そう考えれば、お荷物と捉えるのか、副機長と捉えるのかで全然幸せの感じ方も違いますよね。
空っぽのバックパックからの変化
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これまでずっとバックパックに入らないものは、背負わない主義だったライアンが
アレックスとナタリーとの出逢いによって、少しずつその思考に変化が現れるんですよね。
今では、少し何かをいれたくなってきたって。
ある日、その思いがこみ上げてきたライアンは、アレックスのいるシカゴに飛ぶんです。
そして家の前まで来て、いざベルを鳴らすと、、、
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そこには賑やかな子どもたちと、旦那さんがいる家庭の妻であるアレックスがいたんです。
息抜きとしての存在
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その帰り道、電話にてアレックスはこう言います。
あなたは逃避の相手
日常からの逃避 息抜きよ
ようやくバックパックに何かを入れて背負ってもいいと思った矢先のこと。
自分さえよければそれでOK!みたいに、うまくいかないのが人生なのかも。
特に、すでに結婚しているたちからしてみれば、これも普通のことなのかもしれない。
今ある家庭と、今ある自分が本当の人生で、外に出る時は違う自分の人生で。
それは息抜きでしかないからこそ、そこにどっぷりとハマってはいけない。
良い意味で、不倫やら浮氣やらのことも学べるような内容だなって感じました。
身を固めてしまったとして、これを非日常と許せるのか、はたまた許せないのか
それはぼくがこの先何年か後に、周りがそうなってきた時にわかることなのかもしれません。
夢を叶えたライアン
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シカゴから自宅に帰る途中、ライアンは夢だった1,000万マイルを達成します。
憧れていた機長との会話が目の前にあるというのに、満たされてないんですよね。
その後続けざまにナタリーも、自分が解雇した人が自殺したことをキッカケに辞職し、
ライアンが望んでいたネット解雇ではない、出張解雇が復活することすら喜べないんです。
夢を叶えることは、確かに嬉しいことでもあり、感動に包まれることなのかもしれないけど
一緒に喜んでくれる人がいないと、こんなにも嬉しくないんだなって思いました。
解雇された失業者たちのインタビューから
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何が誇りかといえば
子どもたちだね
まず怒りが湧く
”もう自分は用なしだ”とね
友人や家族の支えなしには
乗り越えられなかった
自分1人では耐え難い
朝、起きて妻の顔を見ると
生きる意欲が湧く
お金じゃない
お金があれば
暖房や毛布は買えるけど
本当に私を
温めてくれたのは夫の腕よ
子どもや家族が
俺の生きがいだ
どの人も、友人や家族の存在が自分を助けてくれたと言っていました
- どんな人生にするかも
- 何を幸せとするかも
- 誰と生きていくのかも
- 何を生きがいとするのかも
自分で選べるのだとしたら、ぼくはこの失業者たちが言っていた人生も素敵だなって。
身軽に何も背負わない人生も悪くないけど、自ら背負って少し重くするのも悪くないなって。
やりたいことだけしかやらない好き勝手生きる人生もいいけど
自分の時間や人生を犠牲にして、生きがいを創る人生も悪くないなって。
このタイミングで、この映画に出逢えたことに感謝の限りです。
あとがき
このタイミングで、この映画を見て感じたことや学んだことから、改めて考えたことがあります。
- 場所や時間,会社に捉われない働き方
- やりたいことをやる生き方
をなんでしたかったんだろう?と考えた時に、
【家族や子ども、友人や最愛の人との貴重な時間を大切にするため】
【自分の生き様を残すとして、子どもという名の未来の宝ものの参考になるように】
という根本にあった大事な想いを改めて認識し、思い出すことができました。
確かに自由な生き方や働き方は憧れるものの、それが一人歩きしてしまっては元も子もない。
もうすぐ24歳で、来年にはアラサーになるという今だからこそ響くものがありました。
順番が違ったなって思ってます。
そもそも社会貢献とか、世界を変える!とか大きな野望がある訳じゃなくて
自分と自分の半径10mぐらいの人たちを幸せにできるようになってから、そこだなと。
もちろん、これで
- 自分のやりたいことは諦める
- 自由な働き方や生き方をやめる
という訳ではなく、うまく両天秤にかけられる方法を模索していこうかなと。
1年前の自分は1か100かという風に、両極端であることが多かったのですが
2〜99までの間って、結構見落としがちだし、そこにも答えはあるんだなって。
時代の流れとか、世論とか、周りが言うことを参考にすることはもちろん大事だけど
自分の中での自分の幸せや答えは常に明確にしておきたいなと思える素敵な映画でした。