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【俳優稽古シリーズ】エチュードその①『駆け引き』

 

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どうも、沖縄移住ブロガーの疾風(@hayate_cwrkh5)です。

 

まだ右も左も分からなかった当時、たくさんの書籍やインターネットから探しても、ありそうでなかった稽古シリーズ。

 

ただ、今ではなかったのも納得できる。

 

稽古は生もので、その時感じる感情や氣など、言葉や論理では表現しがたいものがあるからだ。

 

それでも、今後同じように俳優を目指していく人や、自分のスキルアップのために自己鍛錬を行う人たちのために僕のもてるものをアウトプットしていく。

 

 

エチュードの意味とは 

そもそも、僕も俳優活動を始めた頃は『エチュード』という意味すら分からなかった。笑

 

ここで言うエチュードとは、

 

演劇において状況や場面、人物の性格だけを設定し、台本を使わずその場の受け答えを基に役者が動作や台詞を創造していく芝居。いわゆるアドリブ劇。

(引用 : エチュード - Wikipedia)

 

のことだ。

 

僕が普段稽古で行っているエチュードには、声を発するものや発してはいけないもの、設定以外は何も条件がなく役者同士で作り上げていくもの、それこそ状況を設定されてイメージや妄想を膨らますものなど、たくさんのエチュードがある。

 

今日はその内の『駆け引き』なるものを紹介する。

 

駆け引きについて 

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生きていく上で、この『駆け引き』は必要な物で、様々な使い道がある。

 

それこそ、この画像にあるようにババ抜きで使ったり、オークションの仕入れ値を終了時間を考慮しながら使ったり、恋においても相手の氣を惹いたりと、人生を豊かにするにはないよりもあった方がいい。

 

僕は元々、『そんなもんいらねぇわっ!!』って謎の意固地を張ってたタイプで。笑

 

でも、この稽古を通して『うわ、これは必要だわ。。。』というパラダイムシフトがあった。

 

駆け引きがもたらす役者の幅

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いざ演技をするとなった時に、例えばドラマとか映画に出れるようになったものの

 

“この役者さんはこの役が適任だよね”

 

と限定されてしまうと、お客さんにはそのイメージが根強くついてしまう。

 

もちろん、ブランディングとしては最適かもしれないが、お客さんに感動や衝撃を与えるためには

 

“えっ!?これがあの役者!?全然違う!!”

 

という風に、お客さんの期待や予想を上回る何かが必要となってくる。

 

僕の尊敬する俳優である、堺雅人さんや山田孝之さんがそうで、作品によって全く役柄が違う。

 

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(出典 : ギャンブル速報)

 

もちろん、この演技力の幅の広げ方は様々あるが、『駆け引き』はその一つということだ。

 

例えば、僕の周りからのイメージは今のところ『ただのいいヤツ』とか 『くそポジティブ』といったイメージが強いだろう。

 

そこで砂漠で何日も水分を摂取できておらず、今にも死にそうな人の前に200mlの缶ジュースを持った僕が登場しよう。

 

もちろん僕は喉は潤っていて、目の前の人からすれば僕はまさに救世主のような存在である。

 

当たり前のように缶ジュースを分け与えるのが普通だ。

 

しかし、ここで分け与えようとして相手が缶ジュースを掴もうとした瞬間に、その手を翻して僕が一氣飲みしたらどうだろう?

 

目の前の苦しむ人は、一瞬の包まれた希望から絶望の淵へと苛まれる。

 

僕はそれを見て、その様子を楽しみ、高らかに笑いながらどこかへ去っていく...

 

僕はお客さんからすれば圧倒的に悪者だし、“普段なら絶対そんなことしないのに!!”という期待を裏切ることになる。

 

この“渡しそうで渡さない”というのも一種の駆け引きであって、自分の演技の幅を広げるにはもってこいなのだ。

 

駆け引きのエチュードの諸々 

設定
  1. 2人以上
  2. 役者同士でお互いを見合うように円形に立つ
  3. 中心に何でもいいからボールなりを置く
  4. このものの設定は個人によるが、今自分が喉から手が出る程、絶対に欲しいもの
  5. もちろん個々人の絶対に欲しいものは分からない
  6. アイコンタクトで目を合わせながら、『この人だ』と感じた瞬間からスタート
  7. 3人以上の場合、始まった2人の演技を見守る(ないしは混ざる※(僕がやったのは見守るverでした。))
  8. 近寄ったり離れたり、とろうとしたり引いたり、駆け引きを存分に行う
  9. 『ここだっ!』と感じたタイミングでとる(※一方的にとってはいけない)

 

と、設定を言葉でまとめるとこんな感じ。

 

稽古の段階が進むフェーズが『感覚』によって感じ取れたもので動いていくので、具体的なタイミングやキッカケは体験しないと分からない。

 

経験談 

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まず、最初に自分が一番欲しいものって何だろうと考えた。

 

しかし、そもそもの物欲が普段からほぼないため、喉から手が出る程欲しいものが全くといって良い程思いつかなかった。

 

結局はブログのPV数がアップする魔法のものみたいな設定にしたけど、そこまで欲しくなかったし、そこは実力で何とかせねばと思った。

 

アイコンタクトをしている内に、1人の男性と何秒間か視線を交わし、不思議と眼光に力が宿るかのような感覚を覚え、「これがタイミングか」と駆け引きを始める。

 

じっと見つめ合い、僕が一歩ボールに近づくと、相手は動かない。

 

もう一歩動くと、初めて相手も動き出した。

 

お互い少しずつボールに近づいていき、もう手を伸ばせばボールに手が届くという距離で「次はどうしようか」と僕が考えている間に、相手の人がゆっくりと体制を低くしていく。

 

それを止めるかのように僕は一瞬ボールをとるような素振りを見せる。

 

相手は一瞬動きを止めるも、終いには跪く形で正座をして僕のことを見上げる形になった。

 

その相手の目からは『どうしてもこれが欲しいから譲ってくれ』という熱いメッセージが伝わってくる。

 

僕は悩んだ。

 

ここで諦めてしまえば、ブログのPVアップは手にいれることができない。

 

更に、相手の人の目が若干潤いだして、『ここでこれを手に入れることができなければ俺は死んでしまう』という強い感情のようなものも感じ取った。

 

ここで初めて、たかがブログのPVアップを設定したことを悔やんだ。

 

明らかに目の前の人の方が、僕よりどうしても欲しいという設定に適ってるし、僕はここで手に入れなくても困らない。

 

そして半ば、「こりゃだめだな。」と首を傾げて、頭を掻いたところで相手がボールをつかみ取った。

 

まさに、ほんの少しでも諦めて、“手に入らなくてもいっか”と思った矢先に相手がボールをつかみ取ったので、一方的ではなく合意のもとだった。

 

師匠からのアドバイスと感じたこと

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「きっと普段のいい人が出たんだろうね〜。あそこで諦めたと見せかけて、取り上げたら観客は大驚きよ。何て残酷なんだって。そうじゃなくっちゃ悪者の役なんてできないわよ?」

 

とのアドバイスを受けた。

 

まさにその通りだと思ったと同時に、そこでとった時の自分を想像すると、何故か果てしなく新しい自分のような氣がしてワクワクした。

 

あとは、相当自分の『欲しい!』とか『絶対に渡すもんか!!!』みたいな底力を抑えてる感覚があった。

 

普段から何かを我慢してたり、欲しくてもその場じゃない後でも手に入るというように思いがちだという気付きがあった。

 

そしてこの駆け引きが出来るようになった時の自分は役の幅が広がってるだろうし、日常でも“今ある自分”という固定概念を壊して“違う一面”を掘り出そうと思えるキッカケになった。

 

それが良い意味でGAPに繋がるのだろうと。

 

おわりに 

初の稽古シリーズを記事にしてみたが、やはり自分の経験談と感じたことがベースになってしまうので参考になるかどうかは分からない。

 

しかし、設定や状況、どう進行していくかなんかは分かるはず。

 

これをもとに空いてる時間なんかに遊び感覚で、こういったエチュードもできる。

 

こんなことを「稽古でするのか!面白い!」と思う俳優志望の人や、「そんな稽古やってみたい!」という同志たちが増えることを祈る。

 

まだまだエチュードはたくさんあるから、どんどんシリーズ化していこう。

 

 

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